MySQLの高可用性オプションとしてクラスタソフトによるHA構成はよくある話で、RHEL+LifeKeeper(もしくはClusterProなど)+MySQL Standard Editionといった構成は良く聞きます。しかし、最近MySQL Enterprise EditionならWindows Server Failover Clusterがサポートされるって話を知りました。
MySQL Enterprise High Availability http://www-jp.mysql.com/products/enterprise/high_availability.htmlだったら、MySQLのエディションをSEからEEにすることによる費用増加がクラスタソフトの値段を超えなければ得なんじゃないかと言う疑問が出てきたので、ちょこっと計算してみたいと思います。
IAサーバ2ソケット2台の構成で概算します。値段は2台分、ライセンス費用は初期費用に、年間サブスクリプション&保守は年間コストにつけています。RHELは3年サブスクリプションがありますがここでは無視して単年サブスクリプションで計算しています。あと定価です(ここ重要)。
MySQL SE+LifeKeeperの場合 | |||
No | 製品 | 初期費用 | 年間コスト |
1 | Red Hat Enterprise Linux Server Standard(最大仮想化ゲスト数:1) | 203,280 | |
2 | LifeKeeper for Linux & MySQL ARK | 1,216,000 | 304,000 |
3 | My SQL SE | 434,782 | |
合計 | 1,216,000 | 942,062 |
MySQL EE+WSFCの場合 | |||
No | 製品 | 初期費用 | 年間コスト |
1 | Windows Server 2008 Enterprise 日本語版(25 CAL付) | 1,440,000 | |
2 | My SQL EE | 1,086,958 | |
合計 | 1,440,000 | 1,086,958 |
というわけで、結論は安くなりませんでした。
- WSFCはWindows ServerのEnterpriseでしか使えないのが結構利いている気もします。
- RHELでStandardを選んでいることに根拠はないです。Premiumを選ぶと、年間コスト+14万で、前者・後者の年間コストはほぼトントンになります。
- 初期+20万&年間15万でMySQLをSEからEEに替えられるなら安いと見る向きもあるかもしれません。(個人的にはお客様を納得させるには苦しい言い訳のような気がしますが)
- あとWindowsに縛られるのが嫌だと言うお客さんだと、そもそも後者は選択肢にないですね。
- 加えて、ここでは考慮してませんがユーザ数が増えた場合にWindows ServerのCALをどうするかという話が残っています。
- そもそもでいえば、前者は実績が比較的豊富で安心感があるっていうのも事実かもしれません。
- 後者を薦める場合は、Windowsによる管理のし易さを何処まで訴求できるかかなぁ。(確かにSQL Server+WSFCは簡単だからなぁ)
(個人的には定価と実売値の二重価格は何とかならんもんかと思いますが、代理店経由販売とかベンダ間の情報戦などがあり解決はされないのでしょう。)
でも、技術者としてはMySQL + WSFCは一度は組んでみたいなぁ。
最後に今回の価格の情報源は以下です。
- RHEL http://jp.redhat.com/resourcelibrary/articles/articles-red-hat-enterprise-linux-purchasing-guide
- Windows Server http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3331
- MySQL http://www-jp.mysql.com/products/
- LifeKeeper http://lk-quotation-tool.sios.com/